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ウジェーヌ・ブーダン 《トルーヴィル街道、ル・ビュタン近郊》1860–63年 油彩/カンヴァス 57×83cm ウジェーヌ・ブーダン美術館、オンフルール Honfleur, musée Eugène-Boudin/Illustria

OSHI-KATSU

【6月に行きたいアート展覧会】光あふれる風景の世界<キュレーター林綾野が見どころを語る>

執筆者:林 綾野

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キュレーター・アートライターとして展覧会企画や、美術書の執筆を手がける林綾野さんが紹介するアート情報。今回は、東京都美術館で開催の『東京都美術館開館100周年記念 アンドリュー・ワイエス展』、SOMPO美術館で開催の『開館50周年記念 ウジェーヌ・ブーダン展―瞬間の美学、光の探求』をご紹介します。


精緻に見つめ、描かれた身近な人物や風景の世界

 開館100周年を迎える東京都美術館では『アンドリュー・ワイエス展』が開催されている。1917年、アメリカ・ペンシルヴェニアに生まれたワイエスは、挿絵画家だった父から絵を教わり、幼い頃から画家を志し、20歳にして高い評価を受けるようになった。
 
 ワイエスは、戦後のアメリカにおいて、ネオ・ダダやポップアートなど同時代の美術動向に感化されず、自身の身近な人の姿や風景を描き続けた。《クリスティーナ・オルソン》もそうした1点。モデルであるクリスティーナは病気により足が不自由だったという。ワイエスは戸口に腰掛け、静かに佇む彼女の姿をまばゆい光とともに描き出している。外に視線を向けるその様子に、絵を見る私たちは彼女の心の内にまで思いを巡らしてしまう。精神性あふれるワイエスの絵は、鑑賞者を非日常的な世界に誘う。本展では日本初公開となる10点以上の名作を含む約百点の作品が一堂に会す。思わず感情移入してしまう絵の世界をゆっくり楽しみたい。
 
 新宿、SOMPO美術館では、『ウジェーヌ・ブーダン展』が開催中。「印象派の先駆者」と呼ばれるブーダンは、モネを屋外での制作に導いた画家としても知られる。《トルーヴィル街道、ル・ビュタン近郊》は風景を包む光の表現が美しい初期の作品。故郷ノルマンディーをはじめとする海辺の風景を数多く描いたブーダンの画業を初期から晩年にわたる約百点の作品から見つめる。
 
 身近な人物や風景に込められた想いを探りながら作品と対峙したい。

文=林綾野

この記事を書いた人

キュレイター、アートライター。展覧会企画、美術書の執筆を手がける。画家の創作への想いや食の嗜好などを研究、紹介し、美術鑑賞をより身近なのとして提案。近年手がけた展覧会「おいしい浮世絵展」「堀内誠一 絵の世界展」「柚木沙弥郎life•LIFE展」「谷川俊太郎絵本百貨展」など。主な著作は『フェルメールの食卓』『ゴッホ 旅とレシピ』、『ぼくはクロード・モネ』(講談社)、『浮世絵に見る江戸の食卓』(美術出版社)など。

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