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ダミアン・ハースト《後天的な回避不能》1991年、テート美術館蔵  Photographed by Prudence Cuming Associates ©Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS/Artimage 2026

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【GWに行きたいアート展覧会】激動する時代の中でのアート<キュレーター林綾野が注目>

執筆者:林 綾野

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キュレーター・アートライターとして展覧会企画や、美術書の執筆を手がける林綾野さんが紹介するアート情報。今回は、東京・国立新美術館で開催の『テート美術館 - YBA&BEYOND 世界を変えた90s 英国アート』、東京・ワタリウム美術館で開催の『ジャッド|マーファ展』をご紹介します。


うねる幹、伸びる枝、可憐な花
生命の力みなぎるアート

 国立新美術館では『テート美術館︱YBA & BEYOND』展が開催中。80年代後半、経済格差の拡大や失業率の悪化などの社会不安を発端に、イギリスではこれまでのアートの枠組みを超えた作品が次々と生み出された。担い手となったのは、やがてYBA(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)と呼ばれたアーティストや、彼らと同時代のアーティストたち。こちらでは、そんな世界に鮮烈な印象を与えた約60名の作家による約100点の作品が一堂に会す。まずはYBAに大きな影響を与えた20世紀の巨匠、ベーコンの作品が迎えてくれる。そして、ダミアン・ハーストの《後天的な回避不能》へと続く。煙草の吸殻と灰皿を置いた机と椅子が佇むオフィス空間をガラスケースで密閉した巨大なこの作品は、現代社会における避け難い死への問いかけだ。アートのエネルギーと社会へのインパクトの大きさを想像しながら様々な現代美術の作品をじっくりと体感したい。
 
 ワタリウム美術館では、アメリカのミニマリストの先駆者、ドナルド・ジャッドに着目する『ジャッド|マーファ展』が開催中だ。50年代の貴重な初期の絵画からはじまり、アルミニウムなどを素材とした箱型のユニットを並べた代表的な作品も揃う。後半生を過ごしたマーファでの活動をめぐるドローイングや写真、映像など、ジャッドの創作の核心に触れることができる展覧会だ。
 
 現代にいたる多種多様な表現が生まれる中、アーティストたちが歩み続けてきた道のりを見つめてみよう。

文=林綾野

この記事を書いた人

キュレイター、アートライター。展覧会企画、美術書の執筆を手がける。画家の創作への想いや食の嗜好などを研究、紹介し、美術鑑賞をより身近なのとして提案。近年手がけた展覧会「おいしい浮世絵展」「堀内誠一 絵の世界展」「柚木沙弥郎life•LIFE展」「谷川俊太郎絵本百貨展」など。主な著作は『フェルメールの食卓』『ゴッホ 旅とレシピ』、『ぼくはクロード・モネ』(講談社)、『浮世絵に見る江戸の食卓』(美術出版社)など。

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