『どうぶつ展  わたしたちはだれ? どこへむかうの?』『黙然たる反骨 安藤照』キュレーター・林綾野さんが見どころを紹介

執筆者:林 綾野

©Masahiro Sambe / 撮影:三部正博

キュレーター・アートライターとして展覧会企画や、美術書の執筆を手がける林綾野さんが紹介するアート情報。今回は、立川・PLAY! MUSEUMで開催の『どうぶつ展 わたしたちはだれ?どこへむかうの?~WHO ARE WE?WHERE ARE WE GOING?』、渋谷区立松濤美術館で開催の『黙然たる反骨 安藤照 ―没後・戦後80年 忠犬ハチ公像をつくった彫刻家―』をご紹介します。


剝製の迫力にたじろぐめくるめく動物たちの世界

 東京・立川のPLAY! M U S E UMでは、国立科学博物館とのコラボ企画『どうぶつ展 わたしたちはだれ?どこへむかうの?』が開催中。

 アートと自然科学を融合するこの展覧会、展示室に足を踏み入れると、ずらりと並ぶ動物の剝製が迎えてくれる。そしてそこここに置かれた大きな箱にはたくさんの引き出しが。箱の上には猿の骨格標本が置かれており、引き出しを開けると、猿の骨がきれいに並んでいる。3次元、2次元と目線を変えながら、いつにない感覚で動物たちの存在を感じ、知ることができる。

 続いて、PLAY! 独自企画の展示室には、座ると後ろからにゅーとしっぽが出てくる椅子〈しっぽはすごい〉が。生えてきたしっぽ(プリントされた紙)には、そのしっぽを持つ動物の名前、形状や役割などが書かれている。さらに名和晃平や清川あさみ、ミロコマチコなど現在活躍するアーティストの、動物がテーマの作品も展示され、動物をいろんな形で感じることができる。

 渋谷区松濤美術館では『黙然たる反骨 安藤照』展が開催される。安藤は渋谷駅前の《忠犬ハチ公像》(初代)の作者として知られる。動物が好きだった安藤はハチ公だけでなく兎やその他の犬の像、静謐な人物像なども制作している。戦後80年を迎える今年、本展では終戦の年に東京の空襲で非業の死を遂げたこの彫刻家の仕事を改めて見つめる。

 動物の姿に私たちは何を感じているのだろうか。剝製やさまざまな動物作品を見ながら想像をめぐらせよう。

この記事を書いた人

キュレイター、アートライター。展覧会企画、美術書の執筆を手がける。画家の創作への想いや食の嗜好などを研究、紹介し、美術鑑賞をより身近なのとして提案。近年手がけた展覧会「おいしい浮世絵展」「堀内誠一 絵の世界展」「柚木沙弥郎life•LIFE展」「谷川俊太郎絵本百貨展」など。主な著作は『フェルメールの食卓』『ゴッホ 旅とレシピ』、『ぼくはクロード・モネ』(講談社)、『浮世絵に見る江戸の食卓』(美術出版社)など。

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