OSHI-KATSU
奈緒インタビュー|映画『シャドウワーク』役柄への想いと撮影裏話
執筆者:長嶺葉月
だからこそ、奈緒さんには「観に来た人につらい思いをしてほしくない」という気持ちもあったという。登場人物たちの痛みを軽く扱うわけではない。それでも、観客が少し距離を置いて物語を見つめ、自分自身に問いを持ち帰ることのできる作品に。その思いは、薫という人物への向き合い方にも通じる。
「監督から言われたのは、『ずっと揺れていてほしい』という言葉でした。薫は、もともとは自分の中に正義を持っている人。でも、自分が信じていた正義が夫の暴力によって脅かされて、離れていても夫の存在に支配され続けている。一方で、そんな自分や過去から抜け出して救われたいという気持ちもある。いろんな感情を行ったり来たりして、本当に何が正しいのか、自分の中でもわからなくなっているんです。だから、『こういうふうに表現しよう』と最初から決めて演じることは、あまりありませんでした」
答えを決めない。揺れていることを、そのまま引き受ける。そんな薫を演じるうえで、大きなヒントになったセリフがある。
「『正しく間違いたい』という内容のセリフがあるんです。私はその言葉が、この映画を象徴していると思っていて。社会的なルールとしての正しさは絶対にあるけれど、自分自身が判断したときに、それを正しいと思うのか、間違っていると思うのかは、個々に委ねられている部分もあると思う。だから、自分の判断軸を持つこと、そしてその判断軸について考え続けること。それは、この映画をやって私自身も学んだことでした」

映画『シャドウワーク』
第66回江戸川乱歩賞受賞、佐野広実の同名小説を吉岡里帆と奈緒のW 主演で映画化。暴力から逃れ、シェルターに身を寄せる女性たちを描いたサバイブサスペンス。
©佐野広実/講談社 ©2026「シャドウワーク」製作委員会
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Model=Nao
Photograph=Daisuke Tsuchiyama〈TRON〉
Styling=Maki Iwata Hair & Make-up=Ayumi Takeshita
Interview & Text=Hazuki Nagamine
※InRed2026年10月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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