【妊活】吉田明世さん×医師対談 /“いつか産みたい”と思ったら、まずは自分の体に向き合おう
自身も妊活経験者であるフリーアナウンサーの吉田明世さんが、生理や妊活、不妊治療について婦人科医と語り合います。今回のトークテーマは「いつか産みたい」と思ったら。すぐに妊娠予定がない場合でも、将来のためにできることがあります。
対談したのはこのお二人!
フリーアナウンサー・吉田明世さん
元TBSアナウンサー。2019年にフリーに転身し、TV、ラジオなど多方面で活躍。2児の母。保育士、絵本専門士の資格を持つ。22年に初めての絵本『はやくちよこれいと』(インプレス)を出版。
月花瑶子先生
産婦人科専門医。生殖医療専門医。杉山産婦人科で体外受精を中心とした生殖医療に従事。『やさしく正しい妊活事典』(プレジデント社)、PMS予測アプリ『ケアミー』の監修も。
生理痛は当たり前じゃない
病気が潜んでいることも
吉田:私は10代の頃から生理痛が重く、痛みでうずくまったり、吐いてしまったりするほどでした。「生理痛は我慢するもの」と思って、受診せずに鎮痛剤でしのいでいました。
月花:10代のうちは、子宮が未発達で痛みが強くなる傾向があります。20代になると痛みが落ち着く人もいますが、毎月鎮痛剤が手放せなかったり、日常生活に支障をきたしたりする場合は、子宮内膜症や子宮筋腫が原因の場合もあるので受診してください。子宮内膜症は不妊の原因になることもあるので早めに治療しておきましょう。
吉田:社会人になってから肌荒れにも悩まされたため、婦人科に相談して5、6年ほどピルを服用していました。その間は生理痛と無縁になり、快適に過ごせました。
月花:すぐの妊娠を考えていないなら、ピルで卵巣を休ませるのは正解。通常の月経では毎回排卵が起こりますが、排卵するときに卵子が入っている袋が破裂するので卵巣は少なからずダメージを受けます。人によっては痛みや出血をともなったり卵管に癒着が起きたりして、将来的に妊娠を妨げることも。ピルを飲んでいる間は排卵が起きないのでそうしたリスクはなくなり、子宮内膜症の予防にもなります。私を含め、婦人科医のピル服用率は高いですよ。
「いつかは産める」は誤解
ライフプランも検討して
吉田:実は私は妊活を始めるまで自分の生理周期を正確に把握していなかったんです。妊活を始めるために受診したら、卵胞が育ちにくい「多囊胞性卵巣症候群」という病気が見つかったのですが、もっと早くから基礎体温を測るなど、自分の体に関心を持てばよかったなと思います。
月花:すぐに妊娠の予定がなくても、基礎体温で自分の体のリズムを知るのはいいことだと思います。ただし、毎朝測るのは結構大変でストレスにもなるので無理のない範囲で。試しに3カ月ほど測ってみて、低温期と高温期の二相を示していれば排卵があると確認できますよ。
吉田:学生時代は食べ物が体を作っているという意識も低く、栄養の偏った無理なダイエットをして冷え性にも悩まされていたんです。
月花:痩せすぎも太りすぎも排卵が止まってしまうリスクがあるので注意したいところです。他にはクラミジア感染の有無をチェックしてほしいですね。半数の人に自覚症状が出ないので、気づかないうちにうつし、うつされてしまうごくありふれた性感染症です。卵管に癒着が起きて不妊の原因になることも。また、血液検査で調べられるAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値を調べるのもおすすめ。卵子の元となる原始卵胞は胎児の頃につくられて、その後は減っていく一方。生まれた時に数百万個あったのが、初潮の頃には10万個まで減り、その減少スピードは個人差が大きいんです。AMHで卵巣に残っている原始卵胞の残存数を推定できます。
吉田:私の知人もAMHの値が低いとわかってすぐに卵子凍結をし、その後お子さんを授かったそうです。
月花:AMHの値が低い=妊娠しにくいとは限りませんが、有効な排卵回数が少ないと考えて妊活のタイミングを早めるなど、ライフプランの検討ができると思います。
撮影=イマキイレカオリ スタイリング=河野素子 ヘア&メイク=ナディア 取材・文=中島夕子
※InRed2023年7月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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