【アンゼルム・キーファー:ソラリス】【ヤノベケンジ「宇宙猫の秘密の島」】キュレーター・林綾野さんが見どころを紹介

執筆者:林 綾野

「宇宙猫の秘密の島」

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キュレーター・アートライターとして展覧会企画や、美術書の執筆を手がける林綾野さんが紹介するアート情報。今回は、京都・二条城で開催の『アンゼルム・キーファー:ソラリス』、埼玉・ハイパーミュージアム飯能で開催の【オープニング特別企画展】ヤノベケンジ「宇宙猫の秘密の島」をご紹介します。


二条城、湖畔……特別な空間で五感を駆使してアートを感じる

 ドイツの画家・彫刻家であるアンゼルム・キーファーの展覧会が京都で開催される。彼は1945年、第二次世界大戦が終結した年にドイツのドナウエッシンゲンに生まれた。70年代初頭より画家としての道を進み、戦争をはじめとするドイツの歴史、神話や哲学などをテーマに作品を制作し、80年代には国際的に認められるアーティストとして注目を集めるようになった。

 本展の会場となるのは二条城の二の丸御殿台所、御清所や城内庭園など。巨大な絵画や社会彫刻的なキーファーの作品と江戸時代に創建された二条城の空間がどのように響き合うのかが本展の最大の見どころだろう。キーファーはこの展覧会のために新作に挑み、幅9.5メートルを超える《オクタビオ・パスのために》や、鉛やスチールによる立体作品などが展示される。ヨーロッパの現代美術界の巨匠の作品を特別な空間で味わう類稀な機会だ。

 3月、埼玉、飯能にオープンした現代美術館「ハイパーミュージアム飯能」では、現代美術家、ヤノベケンジの展覧会、『宇宙猫の秘密の島』が開催中だ。ヤノベが1990年に作家としてデビューしてから現在に至るまで制作し続けてきた絵画や立体、映像作品など約80点が並ぶ。また敷地内の宮沢湖には、眠り猫の巨大な浮島が出現。コミカルな印象もありながら、震災や社会問題などと深く結び付くヤノベの作品から私たちは何を感じ取るだろうか。

 この春、屋内、屋外と広がる展示空間の中で作品鑑賞を楽しみたい。

この記事を書いた人

キュレイター、アートライター。展覧会企画、美術書の執筆を手がける。画家の創作への想いや食の嗜好などを研究、紹介し、美術鑑賞をより身近なのとして提案。近年手がけた展覧会「おいしい浮世絵展」「堀内誠一 絵の世界展」「柚木沙弥郎life•LIFE展」「谷川俊太郎絵本百貨展」など。主な著作は『フェルメールの食卓』『ゴッホ 旅とレシピ』、『ぼくはクロード・モネ』(講談社)、『浮世絵に見る江戸の食卓』(美術出版社)など。

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