『ジェット・セックス』『キレイならいいのか――ビューティ・バイアス』見た目や年齢の差別について、学び、考えるきっかけになる書籍
執筆者:InRed編集部
さまざまなジャンルで活躍する、同世代女性のおすすめ書籍をご紹介! 今回は、ライター京極祥江さんが推薦する2冊です。
見た目や年齢で差別されない世界へ
今でこそ女性も60歳定年が当たり前、結婚・出産後も働き続ける人が多くなりましたが、かつて女性は「結婚したら退職/定年30歳」な時代があったこともまた確か。『ジェット・セックス』は、米国の客室乗務員が性別や年齢、体重(!)などさまざまな差別と戦い、働く権利を獲得していった歴史を描いています。まずは不本意ながら年齢や結婚を理由に退職した元客室乗務員たちが「仕事を取り戻すために闘いましょう」と立ち上がり、それはやがて現役客室乗務員の組合結成に繫がります。女性同士の連帯=シスターフッドによって、専門職業人として働く権利を勝ち取っていく様は胸熱。
米国の客室乗務員たちは、ばっちりメイクして着飾った上で、「30歳になったから、結婚したからといって急に客室乗務員としての魅力が失せる訳ではない」と世間に訴えました。労働の権利を得るために「美しさ」を利用したのです。でも本当は、見た目にかかわらず、すべての人が平等に権利を持っているはず。『キレイならいいのか』のテーマは、ルッキズムへの問題提起。この本を読めば、メディアが女性を取り上げる際「美しすぎる」を枕詞にしたり、テレビ映えする政治家ばかりがもてはやされる風潮に異を唱えたくなること必至です。やっぱり人間、一番大切なのは中身です!
『ジェット・セックス』
ヴィクトリア・ヴァントック著、浜本隆三、藤原 崇訳/明石書店
スチュワーデスという仕事の誕生から、ジェット族と呼ばれるセレブリティの出現、そして、男性を誘惑する女性たちというネガティブなイメージが生まれるまでの花形職業の発展史を、膨大な資料と聞き取り取材をもとに描き出す。
『キレイならいいのか――ビューティ・バイアス』
デボラ・L・ロード著、栗原 泉訳/亜紀書房
「容姿による差別」はいかに起こるのか。スタンフォード大学法科大学院の研究者デボラ・L・ロードが、この問題を歴史的文化的背景から掘り起こし、医療業界やメディアの功罪を暴き、法的保護の作用までを徹底的に分析・検証する。
今回、おすすめ書籍を教えてくれたのは…
京極祥江さん
ライター。1975年生まれ。出版社での雑誌編集を経てフリーランスに。著書に『グランドスタッフになるには』(ぺりかん社)ほか。オンライン書店「シスターフッド書店Kanin」を運営。
『エアライン制服図鑑1951-2023』
¥3,850/イカロス出版
航空会社のイメージを体現するCAやグランドスタッフの制服の数々。有名デザイナーを起用した制服、民族衣装を模した制服、LGBTQ+に配慮した制服など、日本と世界のエアラインのべ80社の制服の歴史と変遷を辿る。
※InRed2023年8月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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この記事を書いた人
「35歳、ヘルシーに!美しく! 」をテーマにしている雑誌『InRed(インレッド)』編集部。 “大人のお洒落カジュアル”を軸に、ファッションや美容はもちろん、ライフスタイル全般を網羅。公式ウェブサイト『InRed web』ではライフステージの変化の多い世代ならではの、健康、お金・仕事、推し活に関する情報を発信。お洒落で楽しい毎日に役に立つヒントをお届けしています。
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