【妊活】吉田明世さん×医師対談/いつ始める? どう進める? 30代の“不妊治療”
自身も妊活経験者であるフリーアナウンサーの吉田明世さんが、生理や妊活、不妊治療について婦人科医と語り合います。今回のトークテーマは「不妊治療」。始め時や進め方はカップルの年齢や不妊原因によってもさまざま。“タイムリミット”を意識することも必要です。
フリーアナウンサー・吉田明世さん
元TBSアナウンサー。2019年にフリーに転身し、TV、ラジオなど多方面で活躍。2児の母。保育士、絵本専門士の資格を持つ。22年に初めての絵本『はやくちよこれいと』(インプレス)を出版。
月花瑶子先生
産婦人科専門医。生殖医療専門医。杉山産婦人科で体外受精を中心とした生殖医療に従事。『やさしく正しい妊活事典』(プレジデント社)、PMS予測アプリ『ケアミー』の監修も。
4.4組に1組のカップルが
不妊検査や治療の経験あり
月花:医学的には1年間夫婦生活を行っても妊娠しない場合「不妊」と定義されます。不妊原因の約半数は男性側にもあり、原因がはっきりしないケースも多数。なので、1年を待たずに治療を始めるカップルも多く、日本では4.4組に1組が不妊の検査や治療を受けたことがあるというデータもあります。
吉田:私は排卵誘発剤で排卵を促しながら、何度かタイミング療法と、1度人工授精を試しました。
月花:不妊治療には大きく分けて、タイミング療法と人工授精を指す「一般不妊治療」と、体外受精を指す「高度生殖医療」があります。一般不妊治療で妊娠しなければ高度生殖医療へステップアップするのが一般的ですが、年齢や考え方、不妊原因などによって、最初から体外受精を選択する場合もあります。
吉田:私は妊娠判明まで8カ月ほどかかりましたが、当時は焦りと不安からその3倍くらいの体感でした。不妊治療は終わりの見えないフルマラソンのような辛さがあります。
月花:精神的にはもちろん、体外受精となればホルモン療法の副作用や採卵など、身体的な負担もかかります。保険適用で経済的負担が軽減されたのは大きいですね。
吉田:私は当時、早朝の番組を担当していて仕事上がりが早かったので、仕事を休まずに通院できましたが、働きながらの治療となると、職場の理解も必要になりますよね。
月花:体外受精を1回行うのに、最低でも5回程度の通院は必要です。厚生労働省のホームページから「不妊治療連絡カード」がダウンロードできるので活用して。“何日から何日まで頻回に通院します”といったことが記載でき、必要に応じて医師が記載することもできます。
吉田:不妊治療をしていることを職場で堂々と言えるような雰囲気がもっと広がるといいなと思います。
月花:不妊治療はどうしても女性側の負担が大きくなるので、男性にも自分事と捉えてもらい、女性の心身に寄り添ってもらいたいですね。
卵子凍結で産み時を選べる?
費用もしっかり検討して
月花:いくら不妊治療の技術が進化しても、年齢を重ねるほどに卵子は老化するので、妊娠率は低くなり、流産率が高くなるのは避けられない事実。いつか産みたいと考えるなら、そのことを頭の片隅に置いてライフプランを考えてほしいです。
吉田:最近、卵子凍結という言葉を耳にすることも増えましたね。
月花:卵子の老化スピードは35歳を過ぎてから加速するので、将来に備えて若い年齢時の卵子を凍結保存しておき、産み時をコントロールするというものです。不妊治療をした場合の42歳の女性の妊娠率は10%程度ですが、30歳の時に凍結した卵子を用いれば30〜40%まで高まることが予想されます。
吉田:すごい技術ですね。どのような女性が選択しているのですか?
月花:今はパートナーがいないけれど、いつか妊娠するときのために保存しておきたいという人や、今はキャリアが優先で、数年先に妊娠を考えているといった人です。ただ、保管に高額な費用がかかりますし、子宮に戻す時期が高齢になれば出産リスクも高くなるので、しっかり検討して選択してほしいですね。
吉田:妊娠や出産は女性のライフプランに大きく影響しますね。希望するタイミングで授かれるよう、若い頃から自分の生理や体調に関心を持って、産める体を整えておくことが大切だと改めて感じました。
撮影=イマキイレカオリ スタイリング=河野素子 ヘア&メイク=ナディア 取材・文=中島夕子
※InRed2023年7月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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