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劇団四季ミュージカル 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』演劇ジャーナリスト・伊達なつめさんの一押しステージ情報!
執筆者:伊達なつめ
演劇ジャーナリスト・伊達なつめさんのおすすめ作品をご紹介。今回は、劇団四季ミュージカル 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をピックアップ。
舞台上で時空を超える、衝撃的な没入体験を!
正月にはスペシャル版が放映されたりもして、ドラマ「不適切にもほどがある!」(以下「ふてほど」)人気は健在の模様。現代と80年代をタイムマシンで往き来する設定は、80年代が現代だった時代に50年代との間を往復するストーリーを描いた不朽の大人気SF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(以下BTTF)のパロディだ。映画ではスポーツカーだったタイムマシンがドラマでは路線バスだったりして、BTTFへのオマージュが前面に押し出されている。ドラマの中に必ずミュージカル・シーンが入るところなど、「もしかしてBTTFがミュージカル化されたことまで反映してるのか!?」と勘ぐりたくなるほど。ちなみに、BTTFのロバート・ゼメキス監督と共同脚本のボブ・ゲイルは、2006年から映画の舞台化を計画していたそうで、数々の困難を乗り越え2021年に、ついに英国でミュージカル舞台化を実現。2025年、劇団四季によりその日本キャスト版が開幕した。
映画の舞台化は、通常は映画とは別のクリエイティブ・スタッフにより発案・制作されることが多い。BTTFの場合は、映画を創った本人たちの舞台化への熱意が実っためずらしいケースで、映画の再現度へのこだわりが半端ないのが大きな特徴。タイムマシン「デロリアン」は客席から見えない細部までリアルに機器が仕組まれ、その開発者であるドク・ブラウンの研究室は、映画のファーストシーンそのままに、たくさんの時計やコード類で埋め尽くされている。クライマックスで重要な役割をする時計台の造形も「あ、これこれ!」となつかしさがこみ上げること必至。絶大な数の映画版ファンを持つ作品だけに、ディテールに細心の注意が払われている。
しかし、映画ならではのタイムスリップの時空の歪みや、空まで飛ぶ超速のデロリアンを、三次元の舞台空間でどう表現するというのか。そう誰もが訝るところを、見事に実現してみせるのが舞台版の肝。劇場に入った瞬間、舞台からはみ出すように客席の壁面や天井に回路基板をイメージしたLEDボードが張り巡らされ、デロリアンの内部に没入したような気分にさせられるし、映画公開時にはなかった最新の映像技術により、2026年の今日と作品の80年代がつながるアクティブな感覚まで味わうことができる。「生の舞台を観に行く醍醐味ってこれだ!」と実感できる体験。BTTFファンはもちろん、「ふてほど」視聴者も、何ならどちらも未見であっても、エンジョイできることを保証します。

ミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
台本/共同創作者=ボブ・ゲイル 共同創作者=ロバート・ゼメキス 作詞・作曲=アラン・シルヴェストリ、グレン・バラード グローバルプロデューサー=コリン・イングラム 演出=ジョン・ランド
ロングラン上演中 ※2027年3月31日(水)公演分まで発売中 SMBCグループミュージカルシアター JR東日本四季劇場[秋]
(問)劇団四季 ナビダイヤル ☎0570-008-110
文=伊達なつめ
※InRed2026年4月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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この記事を書いた人
演劇ジャーナリスト。演劇、ダンス、ミュージカルなど、国内外のあらゆるパフォーミングアーツを取材し、多数の雑誌・webメディアに寄稿。
X:@NatsumeDate
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