OSHI-KATSU
【12月・1月公開映画】放送作家・町山広美が厳選!年末年始に注目の映画2選!
執筆者:InRed編集部
世界屈指の量産監督ホン・サンスによる『小川のほとりで』は、女2男1の3人が囲む美味しい食卓を核としながら、重層的に展開される。
ジョニムは、ソウルの女子大で講師を務める40歳の女性。学生の演劇イベントのため、指導者として叔父を招く。前任者と学生の間で恋愛がらみのトラブルが起きたがゆえの、急なお願い。かつて叔父は人気俳優だったが、失脚したようだ。ジョニムの恩師である学部長、彼女はもともと叔父のファンで、二人は食卓を囲むうち急接近。ジョニムは居心地が悪そうだ…。
周囲は恋愛で騒がしいのに、主人公自身に起こる出来事はない。彼女は、何も起こらないよう心がけて生きているからだ。だから「グッドワン」同様、孤独についてのお話でもあるが、主人公を出来事の周縁に立たせることで描き出してみせる企みが凄い。
そして最も感動的な場面にも彼女は不在で、この映画のモブ、その他大勢に見えた学生たちからもたらされる。劇の本番を終えた酒の席で叔父が学生に、「こんな人間になりたい」を詩で即興してみてと頼む。詩人の国韓国らしい、おっさんの感傷的なムチャぶり。でもそれに誠実な言葉が次々返されるのだ。自分という人間を作ろうとしている、自分を真摯に見つめる若い言葉が、突き刺さる。
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