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《幕》1961 年 型染、木綿 坂本善三美術館蔵

OSHI-KATSU

12月21日まで開催【柚木沙弥郎 永遠のいま】キュレーター・林綾野さんが見どころを紹介

執筆者:林 綾野

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キュレーター・アートライターとして展覧会企画や、美術書の執筆を手がける林綾野さんが紹介するアート情報。今回は、東京オペラシティ アートギャラリーで開催の『柚木沙弥郎 永遠のいま』をご紹介します。


工芸の世界に輝く表現

 日本を代表する染色家である柚木沙弥郎。東京オペラシティアートギャラリーでは、2024年に101歳の生涯を閉じた柚木の75年にわたる創作活動を振り返る展覧会『柚木沙弥郎 永遠のいま』が開催されている。

 1947年、25歳の頃より染色家の道を歩み始めた柚木。芹沢銈介より大きな影響を受け、民藝活動を創作の原点とした柚木は、まずは型染の技法を学んだ。展覧会ではその貴重な初期作の1つ《紅型風型染布》(1948年)から始まり、《幕》、《まゆ玉 白》、《木もれ陽》などさまざまな表現方法を駆使した染色の代表作がずらりと揃う。

 さらに絵本《トコとグーグーとキキ》の原画や旅をテーマにした絵、《「DEAN& DELUCA」カフェのための作品原画》など90歳を超えて取り組んだモダンな作品まで多彩な表現をあまねく紹介。「わくわくしなくちゃつまらない」と語った柚木のバラエティに富む作品を心ゆくまで楽しめる。

 この秋、技に支えられながらも豊かな表現が広がる工芸の世界に着目しよう。

この記事を書いた人

キュレイター、アートライター。展覧会企画、美術書の執筆を手がける。画家の創作への想いや食の嗜好などを研究、紹介し、美術鑑賞をより身近なのとして提案。近年手がけた展覧会「おいしい浮世絵展」「堀内誠一 絵の世界展」「柚木沙弥郎life•LIFE展」「谷川俊太郎絵本百貨展」など。主な著作は『フェルメールの食卓』『ゴッホ 旅とレシピ』、『ぼくはクロード・モネ』(講談社)、『浮世絵に見る江戸の食卓』(美術出版社)など。

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