OSHI-KATSU
【7月・8月公開映画】放送作家・町山広美が厳選!この夏注目の映画2選!
執筆者:InRed編集部
『海辺へ行く道』は、小豆島で撮影された小さな港町の点描だ。アーティスト支援をうたうこの地に流れ着いたアーティストを自称する、都会で居場所を失った怪しい大人たちと、美術部の中学生たちが遭遇する夏休みのお話。
連作漫画を原作に、日常からの横滑りを得意とする横浜聡子監督は今回、逸脱の一歩手前にとどまる。例えば床に描いた黒い穴に、猫が飛び込むまでは撮らないが、それを想像させるというように。映画には夏休みが永遠に続くと思えた中学生の体感さながらの遅い時間が流れ、珍妙な大人たちに出会いながらも、主人公の男子中学生の可能性やら感性がつつがなく温存される顛末を観客はことほぐことになる。
どちらの映画でも、心のうちの自由が尊ばれ、大人の男たちの存在は不完全で影響力を持たない。そして海と陸を行き来する風が映画に吹いている。
『私たちが光と想うすべて』
24年 フランス、インド、オランダ、ルクセンブルク 118分 監督・脚本:パヤル・カパーリヤー 出演:カニ・クスルティ、ディヴィヤ・プラバ、チャヤ・カダム
7/25(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開
© PETIT CHAOS - CHALK & CHEESE FILMS - BALDR FILM - LES
FILMS FAUVES - ARTE FRANCE CINÉMA - 2024
『海辺へ行く道』
25年 日本 140分 監督:横浜聡子 出演:原田琥之佑、麻生久美子、高良健吾、唐田えりか、剛力彩芽ほか 8/29(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿ピカデリーほか全国公開
© 2025映画「海辺へ行く道」製作委員会
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文=町山広美
放送作家、コラムニスト。担当番組に「有吉ゼミ」「マツコの知らない世界」など。東京と沖縄で2拠点生活をしている。
イラスト=小迎裕美子
※InRed2025年8月・9月合併号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
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この記事を書いた人
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