【3月公開映画】放送作家・町山広美の映画レビュー
『Four Daughters フォー・ドーターズ』、『ジェリーの災難』
執筆者:InRed編集部
「ジェリーの災難」もまた、ご本人が演じる実話である。台湾からアメリカに移住、息子を得、定年退職したジェ
リーに中国当局からマネーロンダリングの嫌疑がかけられた。無罪を証明すべく、捜査に彼も協力することに。なんと当局の潜入捜査官になったのだ、電話一本で。怪しい。
そんなありえない体験を、自ら脚本を書き、主演。映像制作に関わる息子が用意した、ちゃんと映画的な映像と演出が加わって、再現ドラマが展開されていく。別れた妻への未練が笑いを誘うし、酷い目にあったのを映画でやり返すなんていいねえと楽しく見ていると、思わぬ展開が。映画を作る喜びが溢れ出て、やがて頬が濡れる。
家族をめちゃくちゃにした出来事を、ご本人が演じる。家族の実像、明るい気配さえ見えてくる。プロの演出が関与する新時代のホームムービーと言えやしまいか。なんだかとても新しい。
『Four Daughters フォー・ドーターズ』
23年 フランス・チュニジア・ドイツ・サウジアラビア 107分 監督・脚本:カウテール・ベン・ハニア 出演:ヘンド・サブリ、オルファ・ハムルーニ、エヤ・シカウイほか 3/14(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
© 2023, TANIT FILMS, CINETELEFILMS, TWENTY TWENTY VISION,RED SEA FILM FESTIVAL FOUNDATION, ZDF,JOUR2FÊTE
『ジェリーの災難』
23年 アメリカ 75分 監督:ロー・チェン 出演:ジェリー・シュー、ロー・チェン 3/20(木)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次公開
© 2023 Forces Unseen, LLC.
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文=町山広美
放送作家。「有吉ゼミ」「マツコの知らない世界」「まさかの1丁目1番地」を担当。江東区森下の書店「BSEアーカイブ」店主。
イラスト=小迎裕美子
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