2月最新アート情報【堀内誠一展】【宮脇綾子の芸術】デザイン性あふれる表現の世界!キュレーター・林綾野さんが見どころを紹介

執筆者:林 綾野

『ぐるんぱのようちえん』(1965年)福音館書店 ©Seiichi Horiuchi

この記事の画像一覧を見る(2枚)

キュレーター・アートライターとして展覧会企画や、美術書の執筆を手がける林綾野さんが紹介するアート情報。今回は、東京・PLAY! MUSEUMで開催中の『堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE』、東京ステーションギャラリーで開催中の『生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った』をピックアップします。


新しい雑誌、伸びやかな絵。
時代を切り開いた仕事の数々

  東京、立川のPLAY! MUSEUMでは『堀内誠一展』が開催されている。堀内は『anan』や『BRUTUS』など雑誌のアートディレクターとしてビジュアル系雑誌の黄金時代を築いたデザイナー。両誌のほか、『POPEYE』や『クロワッサン』、『ESSE』など、私たちがよく目にする雑誌のロゴも堀内によるデザインだ。さらに堀内は「ぐるんぱのようちえん」「たろうのおでかけ」などの絵を描いた絵本作家でもある。

 展覧会では、堀内の多様な世界を3つの章に分けて紹介する。最初のFASHIONでは堀内がアートディレクションした『anan』を大解剖。1971年刊行の創刊1周年記念号の全ページを30mの長さにわたって紹介し、ファッションや読み物ページを拡大して展示。続くFANTASYでは、高さ3mの巨大絵本のインスタレーションの中、「オズの魔法使い」など絵本の原画を楽しめる。最後のFUTUREでは、デザイナーや俳優など堀内を敬愛する約百名のお気に入りの堀内作品が並ぶ。絵本、地図、写真など、どんな作品に出合えるか? 会場で確かめよう。

 東京ステーションギャラリーでは『宮脇綾子の芸術』展が開催中。宮脇は主婦として毎日のように目にする野菜や魚、花などをモチーフに、古い布でアプリケ、コラージュを制作。美しくデザイン性あふれる作品や資料、約1 50点が揃う。宮脇の造形世界に新たな光を当てその芸術性に迫る展覧会だ。

 新春、見る者の心を明るく照らす伸びやかな表現の世界に触れてみたい。

この記事を書いた人

キュレイター、アートライター。展覧会企画、美術書の執筆を手がける。画家の創作への想いや食の嗜好などを研究、紹介し、美術鑑賞をより身近なのとして提案。近年手がけた展覧会「おいしい浮世絵展」「堀内誠一 絵の世界展」「柚木沙弥郎life•LIFE展」「谷川俊太郎絵本百貨展」など。主な著作は『フェルメールの食卓』『ゴッホ 旅とレシピ』、『ぼくはクロード・モネ』(講談社)、『浮世絵に見る江戸の食卓』(美術出版社)など。

記事一覧へ戻る

KEYWORD

SNS SHARE

  • facebook
  • x
  • hatenabookmark
  • LINE

Related Article