【さくらももこ展】【「ONE PIECE ONLY」展】漫画作品の深みに触れよう!キュレーター・林綾野さんが語る見どころを紹介

執筆者:林 綾野

©さくらももこ ©さくらプロダクション

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キュレーター・アートライターとして展覧会企画や、美術書の執筆を手がける林綾野さんが紹介するアート情報。今回は、東京・森アーツセンターギャラリーで開催中の『さくらももこ展』、東京・PLAY! MUSEUMで開催中の「ONE PIECE ONLY」展』をピックアップします。


世界的人気漫画ができるまで
作品に込められた愛とパワー

 森アーツセンターギャラリーでは『さくらももこ展』が開催中。まんが家、エッセイストとして活躍したさくらももこの生い立ちや多彩な仕事、作品の魅力を約300点のカラー原画や直筆原稿を通じてひもとく大展覧会だ。

 代表作である『ちびまる子ちゃん』は、1986年、月刊誌「りぼん」で連載がスタート。展覧会では記念碑的な『ちびまる子ちゃん』の第1話の原画が展示されており、ファンにとってはうれしい機会だ。そしてやはり人気作である『COJI‒COJI』も、自身が最初に描いたコジコジの絵、漫画の原画も多数並ぶ。さらに両作それぞれのスピンオフ作、『ちびしかくちゃん』『ゴシゴシ』などちょっとマニアックな作品も紹介されていて見ごたえたっぷりだ。

 作品をじっくりと見ていると、鉛筆で素朴に描かれたものから絵の具で丁寧に緻密に描き込まれた絵まで、さくらももこが描くことを慈しみ、大切に作品を生み出してきたことが伝わる。

 東京・立川のPLAY! MUSEUMでは『「ONE PIECE ONLY」展』が開催中。1997年の「ジャンプ」での連載開始より世界的な人気を誇るこの作品がどのように生み出されるかを紹介する。印刷の過程を紹介する展示や映像インスタレーション、絵として美しいアートプリント、そして作者尾田栄一郎が描く連載1000話目の下書きや原稿の原画など貴重な作品も並ぶ。

 月刊誌、週刊誌の連載として世に出た漫画たち。多くの人に愛されてきたその作品世界の真相に触れてみよう。

この記事を書いた人

キュレイター、アートライター。展覧会企画、美術書の執筆を手がける。画家の創作への想いや食の嗜好などを研究、紹介し、美術鑑賞をより身近なのとして提案。近年手がけた展覧会「おいしい浮世絵展」「堀内誠一 絵の世界展」「柚木沙弥郎life•LIFE展」「谷川俊太郎絵本百貨展」など。主な著作は『フェルメールの食卓』『ゴッホ 旅とレシピ』、『ぼくはクロード・モネ』(講談社)、『浮世絵に見る江戸の食卓』(美術出版社)など。

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