【必見アート情報】女性アーティストに着目!『ルイーズ・ブルジョワ展』『内藤礼生まれておいで 生きておいで』キュレーター・林綾野さんが語る見どころとは?

執筆者:林 綾野

ルイーズ・ブルジョワ《家出娘》1938年頃 油彩、木炭、鉛筆、キャンバス 61×38.1㎝撮影:Christopher Burke © The Easton Foundation/Licen sed by JASPAR, Tokyo, and VAGA at Artists Rights So ciety (ARS), New York

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キュレーター・アートライターとして展覧会企画や、美術書の執筆を手がける林綾野さんが紹介するアート情報。今回は、東京・森美術館で開催中の『ルイーズ・ブルジョワ展地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ』、東京・銀座メゾンエルメス フォーラムで開催中の『内藤礼 生まれておいで 生きておいで』をピックアップします。


悲しみと孤独、そして激しさ人生の痕跡を刻んだ作品

 フランスに生まれ、アメリカで活動したルイーズ・ブルジョワは20世紀を代表するアーティストの一人。六本木ヒルズの正面広場に設置されている彼女の代表作である巨大なクモの彫刻「ママン」を見たことがある人も多いだろう。現在、森美術館では日本で実に27年ぶりとなる『ルイーズ・ブルジョワ展』が開催されている。

 ブルジョワは1911年パリに生まれた。支配的な父親の存在や病気に苦しむ母親の介護など後にトラウマとなる出来事を幼少期に体験。そして二十歳の時に母親を亡くしたことをきっかけに、アーティストを目指した。その後ニューヨークに渡り、40年代半ばから作品を発表し次第に評価されていく。

 幼少期のトラウマを起源とする彼女の作品は時に悲しく、激しい。それだけに見る者の心を捉えて離さない。本展では初期絵画作品「家出娘」をはじめ100点をこえる彫刻、絵画、インスタレーションから全貌を解き明かす。

 銀座メゾンエルメス フォーラムでは内藤礼の展覧会『生まれておいで 生きておいで』が開催中。「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」という問いの下に作品制作をしてきた内藤。展示室のところどころに毛糸やガラス玉、鈴が吊られ、小さな鏡を覗き込んでみたりしながら光やふとした空気の動きをいつになく感じる。「生の光景」との出合いをぜひ体験してみたい。

 アーティストの心象から湧き上げる純粋でストイックな表現世界。普段感じ得ない何かときっと出合えるはずだ。

この記事を書いた人

キュレイター、アートライター。展覧会企画、美術書の執筆を手がける。画家の創作への想いや食の嗜好などを研究、紹介し、美術鑑賞をより身近なのとして提案。近年手がけた展覧会「おいしい浮世絵展」「堀内誠一 絵の世界展」「柚木沙弥郎life•LIFE展」「谷川俊太郎絵本百貨展」など。主な著作は『フェルメールの食卓』『ゴッホ 旅とレシピ』、『ぼくはクロード・モネ』(講談社)、『浮世絵に見る江戸の食卓』(美術出版社)など。

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