【30代女子必見アート情報】『ブラック・ジャック展』『町子が描いた家族のかたち』キュレーター・林綾野さんが語る見どころ

執筆者:林 綾野

この記事の画像一覧を見る(2枚)

キュレーター・アートライターとして展覧会企画や、美術書の執筆を手がける林綾野さんが紹介するアート情報。今回は、京都府京都市の美術館「えき」KYOTOで開催中の『連載50周年記念「手塚治虫 ブラック・ジャック展」』、東京世田谷区の長谷川町子美術館で開催中の『企画展「町子が描いた家族のかたち」』をピックアップします。


孤高の天才外科医が織りなす命をめぐる物語を体感!

 手塚治虫の代表作の一つ『ブラック・ジャック』は、1973年から83年まで『週刊少年チャンピオン』に掲載された人気マンガ。鋭い眼差しに傷のある顔。黒ずくめの出立ち。ミステリアスなオーラ漂う天才外科医ブラック・ジャックは無免許医でありながら不可能とされる手術で患者を救う。

 美術館「えき」KYOTOで開催中の『手塚治虫 ブラック・ジャック展』では、ブラック・ジャックを支える家族でもあり、彼自身が生み出した18歳で0歳である女の子「ピノコ」など個性豊かなキャラクター紹介をはじめ、貴重作や創作秘話、生原稿を織り交ぜながら魅力をひもといていく。「医療とは何か?」という潜在的なテーマと共にドラマチックな物語の裏に描かれる命に対する考え方、命をめぐる人間の在り方、孤高の人、ブラック・ジャックの生き様などにも迫る。マンガそのものと共に作者が作品に込めた深い思いを受け止めたい。

 東京・世田谷にある長谷川町子美術館では『企画展 町子が描いた家族のかたち』が開催中。長谷川町子の代表作「サザエさん」「エプロンおばさん」「いじわるばあさん」に登場するキャラクターとそれぞれの関係性に着目する。三世代同居の磯野・フグ田家、下宿家を営む敷金(しきかね)家、母と長男一家の同居の伊知割(いじわる)家。軽やかで味わい深いマンガの原画と共にさまざまな家族の在り方に迫るユニークな展示だ。

 読んでいて楽しく、そして奥深いマンガの世界を改めて見つめてみよう。

この記事を書いた人

キュレイター、アートライター。展覧会企画、美術書の執筆を手がける。画家の創作への想いや食の嗜好などを研究、紹介し、美術鑑賞をより身近なのとして提案。近年手がけた展覧会「おいしい浮世絵展」「堀内誠一 絵の世界展」「柚木沙弥郎life•LIFE展」「谷川俊太郎絵本百貨展」など。主な著作は『フェルメールの食卓』『ゴッホ 旅とレシピ』、『ぼくはクロード・モネ』(講談社)、『浮世絵に見る江戸の食卓』(美術出版社)など。

記事一覧へ戻る

KEYWORD

SNS SHARE

  • facebook
  • x
  • hatenabookmark
  • LINE

Related Article