『マリー・ローランサン ―時代をうつす眼』キュレーター・林綾野さんが語る30代女子にオススメのアート情報

執筆者:林 綾野

マリー・ローランサン ―時代をうつす眼 

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キュレーター・アートライターとして展覧会企画や、美術書の執筆を手がける林綾野さんが紹介するアート情報。今回は、アーティゾン美術館で開催中の『マリー・ローランサン ―時代をうつす眼』をピックアップします。


美しく優しい絵に秘められた強い意志と新しい表現力

 黒目がちな瞳。ピンクや水色、黄色など淡い色彩と柔らかなタッチが奏でる絵の世界。マリー・ローランサンが描く絵はどこか夢見心地で見る者の心を優しく包み込んでくれる。

 1883年、パリに生まれたローランサンは若い頃から画家になることに憧れていた。当時、女性画家がほとんどいない中で努力を重ね、時代を見つめながら独自の画風を打ち立てていく。そして肖像画をはじめその絵は次第に評価され人気画家の道を歩んでいった。

 東京、アーティゾン美術館ではそんなローランサンの画業と彼女が影響を受けた画家の作品を紹介する展覧会が開催されている。実直な眼差しが印象的な初期の自画像から数少ない貴重な静物画、晩年の大作《三人の若い女性》など主要な作品を通じてこの画家の魅力を改めて感じることができる。ピカソやモディリアーニ、藤田など、同時代の画家の絵も見応えたっぷり。しっかり時間をかけて味わいたい展覧会だ。

マリー・ローランサン ―時代をうつす眼 マリー・ローランサン《プリンセス達》1928年、大阪中之島美術館

期間/開催中。3月3日(日)まで
休館日/ 月曜日
住所/東京都中央区京橋1-7-2
会場/アーティゾン美術館 6階展示室

電話/ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

文=林綾野

※InRed2024年3月号より。情報は雑誌掲載時のものになります。
※画像・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください。
※新型コロナウイルスなどの影響により、イベント内容の変更、開催の延期や中止の可能性があります。詳細は各お問い合わせ先にご確認ください。

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この記事を書いた人

キュレイター、アートライター。展覧会企画、美術書の執筆を手がける。画家の創作への想いや食の嗜好などを研究、紹介し、美術鑑賞をより身近なのとして提案。近年手がけた展覧会「おいしい浮世絵展」「堀内誠一 絵の世界展」「柚木沙弥郎life•LIFE展」「谷川俊太郎絵本百貨展」など。主な著作は『フェルメールの食卓』『ゴッホ 旅とレシピ』、『ぼくはクロード・モネ』(講談社)、『浮世絵に見る江戸の食卓』(美術出版社)など。

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